
九星気学における方位占いの基礎となるのが後天定位盤。
後天定位盤は各九星の定位置を示す方位盤で、言わば九星気学の基準盤であり、その年の運気や運勢、吉凶方位を読み解く際の基準となるものです。
もう少し具体的な話をすると、易学における「後天八卦」が基になっており、各九星の方位はもちろんのこと、各方位には「坎」や「坤」といった卦も定められています。
一方、後天定位盤の「後天」に対して、「先天」定位盤もあることはあまり知られていないのが実情。大きな違いとしては、後天定位盤は中宮に五黄土星が配置されるのに対し、
先天定位盤には中宮が存在しない
ほか、各九星の定位置においても、後天定位盤は一白水星が北(真逆の対沖[南]が九紫火星)になるのに対して、先天定位盤は西に一白水星が配置され、中宮および五黄土星は存在しません。当然八卦の方位もそれぞれ異なります。同じ九星気学の方位盤と言えど、先天と後天で大きな違いがあるように見えますが、
そもそも先天定位盤と後天定位盤が示す内容や違いは?
と聞かれても、多くの人は明確に理解していないかもしれません。
九星気学の奥深さや世界観は、こんな方位盤にも垣間見れるところかもしれませんが、先天定位盤と後天定位盤の根本的な違いとしては
といった具合に、
同じ定位盤と言えど概念が全く異なる
といった特徴があります。
だいぶ小難しい話かもしれませんが、言うなれば先天定位盤は宿命を示すもの、後天定位盤は運気の変化を示すもの、と例えると分かりやすいかもしれません。
つまり、前者は不変の配置であり、後者は時間と共に変化する配置という位置づけです。
もちろん方位盤における九星の定位置自体は変わりませんが、歳徳や天道などの吉方位、暗剣殺や五黄殺などの凶方位は、
その時々で吉凶方位が変化する
ことはご承知のとおり。過去記事「▼九星気学における天道とは?万人に共通の吉方位について」などでもご紹介しているとおり、季節や時間の巡りによって変化する運気を捉えるためには、不変の先天定位ではなく後天定位を用います。
なお、先天定位盤と後天定位盤でそれぞれ対になる陰と陽の関係については、以下のような関係性があります。
上記でも軽く触れましたが、先天定位盤には中宮が存在しないため五黄土星も存在しません。先天の概念としては循環の始まりを示しており、
その中心は「未だ顕現していない太極」
という設定となるため、中宮としての定位置はもちろん、そこに星を置くこともないのです。
そんな先天定位盤と後天定位盤、普段占術に用いるのは後天定位盤となり、先天定位盤の出番自体が少ない傾向にありますが、この記事では先天定位盤も含めた活用方法や占術への取り入れ方について、詳しくご紹介していきます。

九星気学において、日常的に後天定位盤を用いることが多い背景は、前段でもご説明したとおり、人間の営みによって「人間社会や現実と運行」を示す必要があるためで、先天定位で示す宇宙の根源的なエネルギーとは概念が異なるからです。端的に言ってしまいますと、
先天定位が理論の基礎・後天定位が運用の基礎
となりますので、先天定位盤は普段の占いにあまり用いられることがありません。よって、既に記事テーマに対する結論になってしまいますが、「定位盤を使い分ける必要がない」というのが一般的な解釈で、先天定位盤の出番が少ないのもこうした背景があります。
後天定位盤の配置については、

過去記事「▼年盤・月盤・日盤とは?九星気学の方位盤について知ろう」でもご紹介したとおりですが、この九星の配置を理解するためには、
「河図(かと)」を理解する必要があります。
古代中国より伝わる「陰陽の数理」や「天地の秩序を示す象徴図」という概念、つまり自然界や宇宙の法則を表現したものであり、これが先天定位盤の原点になったと考えられます。後天定位盤の配置においては

一白水星の対沖(反対)の位置関係となるのが九紫火星
八白土星の対沖(反対)の位置関係となるのが二黒土星
といった具合に、その対沖関係との和が必ず10になる方位陣であるのと同時に、
縦横斜め、1行の和が全て15になる
(例:4+3+8=15、4+9+2=15、8+5+2=15)
この数字の配置が河図で、宇宙の秩序や象徴を示しているとされています。
この河図を原理に八卦が生まれ、五行思想の源泉となり、そこから九星気学へと発展したのです。つまりこの配置においては
陰陽のバランスが取れた理想の配置
を示しており、後天定位盤が日常占術に用いられるのは
現実社会がその理想配置からどれだけ偏っているか?
というアンバランスさを推し量るためのものだからなのです。
後天定位盤が河図の配置を元にしているのは、易経の八卦からの発展という経緯もあり、基本思想や理論はこの「河図」に遡るということを覚えておく必要があります。

このように、先天定位盤と後天定位盤の違いを見てきましたが、現実社会や人間心理、感情を反映するのが後天定位盤である以上、先天定位盤の活用方法があまり見いだせないというのが本音です。
上述のとおり先天定位盤は、九星気学の理論の原点であり、宇宙の法則や理想の秩序バランスを示していると言っても、正直なところあまりピンと来ないのが実情。
例えば、年盤と月盤を重ねて運勢を導く「▼同会・被同会」と同じように
先天盤と後天盤を重ねて診断する
という占術方法があるか?というと、調べる限り一部流派では用いられることがあるようですが、あまり一般的ではないようです。ここから導き出そうとする占術内容については、
先天定位盤 :宇宙の理想秩序(調和やバランス)
後天定位盤 :現実社会での乖離(今の状態を照らし合わせる)
といったことが想像できますが、あくまでその流派での独自解釈であることは認識しておく必要があります。
通常、九星気学を用いて吉凶判断や方位占いをするだけであれば、何も気学の原点でもある宇宙の法則や陰陽調和まで理解する必要はないかもしれませんが、特に普段から用いる後天定位盤においては、単に吉凶方位や方位神の位置を把握するだけでなく、
調和が取れる理想の配置からどれだけズレているか?
というバロメータとなりうるため、当然その比較対象となる大元の先天定位盤の配置は把握しておく必要があるのです。先天定位が象徴する法則として挙げられるのが、
であり、それぞれの星に陰と陽があり、季節の移り変わりや月の満ち欠けといった循環があり、五行思想のように相互作用が存在する、これらすべてを含めたのが宇宙の法則であり、「先天=思想/後天=現実」という関係性が成り立っています。
だいぶ理論中心の座学的な内容となってしまいましたが、九星気学の奥深さはもちろん、単なる方位盤という認識だった後天定位盤においても、様々な歴史と理論と哲学が組み込まれていることを知るだけでも、九星気学に対する理解を深める要因となりますので、普段は使わずとも決して不要な情報ではないのです。
これをきっかけに、九星気学の元となった易経や八卦の生い立ちなどについても今後詳しく取り上げていきます。