「私はA型だからB型の人とは相性が良くないんだよねぇ」なんて言ってる人…周りから"おバカな人"だと思われているかもしれません。
日本でお馴染みの血液型占いは、A・B・O・ABの4種類の血液型で性格や相性を占うというものですが、実はこの占い、日本独自のもので海外では全く人気がないのです。
海外で血液型を気にするのは輸血をする時くらいで、性格を診断しようとするのは世界でも日本人くらいなもの。
それもそのはず、血液型占いには科学的な根拠が存在しないのです。つまり、私たちが良く知るA型=几帳面、B型=自己中…といった血液型分類も、科学的に考えると全くのデタラメということになります。
そもそも、血液型で性格が決まるのなら、血液型どころか遺伝子まで全く同じな一卵性双生児は、同じ性格に成長するということになってしまいますよね。たしかに双子であれば性格も似てきますが、中には正反対な性格に育つ双子もいます。
これまで何人もの学者が血液型と性格の相関関係を証明しようとしてきましたが、どれだけ検証を重ねても「科学的な証拠は見つからない」という結果を裏付けるだけでこれまでの説を覆すことはできませんでした。
このように、血液型占いは科学的にバッサリ否定されてしまっているわけですが、合コンや飲み会の話のタネとしてはまだまだ根強い人気があります。日本人であれば、ほぼ確実に知っている『血液型占い』は初対面の人と打ち解けるきっかけとしてとても便利なのです。
では、どうして血液型占いはこんなにも有名になったのでしょう?いつ頃から流行りだしたのでしょうか?
血液型と性格を結び付けた考えは1927年にまで遡ります。当時、東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学)で教鞭をとっていた古川竹二教授は「血液型によって気質が決まっているのではないか?」と考え、研究を開始。
これまでもドイツのデュンゲルン教授や彼に師事した原来復(はら きまた)によって血液型の研究は行われていましたが、本格的に血液型と気質の研究に着手したのは古川教授が初めてでした。
古川教授の学説は一躍注目の的となり、大日本帝国陸軍も取り入れるほどの話題になります。軍はこの学説によって、血液型で兵士の資質を判断し練度の高い部隊を作ろうと試みたのです。
しかし、実際に編成された部隊の成績は期待した通りのものではありませんでした。それどころか、壊滅してしまう部隊もあったそうです。その結果、この試みは「明確な成果なし」として1931年には中止されてしまいます。つまり、血液型による性格診断は今から100年近くも前に否定されていたのです。
ちなみに、この時代の血液型診断で最も優れているとされた血液型はA型で、反対に最も劣っているとされた血液型はB型でしたが、その根拠は「チンパンジーにA型が多く、それ以外の動物にB型が多いから」というものでした。
つまり、賢い動物に多いA型が高等で、そうでないB型は下等という理論らしいのですが、実は豚の90%以上はA型です…豚のことをバカにするわけではありませんが、当時の学者は豚の血液型を調べなかったのでしょうか。
事の真偽はともあれ、陸軍で行われた実験によって『血液型によって気質に差は生じない』ということが判明したため、血液型診断の人気は急落することになります。
今まで大勢に支持されていたのが嘘のように、誰からも注目されることのない時期が続いたのです。
血液型診断が人々の記憶から忘れ去られて約40年後、古川教授の影響を受けた放送作家の能見正比古(のみ まさひこ)が『血液型でわかる相性』、『血液型人間学』という2つの書籍を一般向けに出版します。
この本をきっかけとして血液型占いが大衆に受け入れられ、各メディアはこぞって血液型占いを取り入れるようになりました。
人間の思考や行動のパターンと血液型を関連付けて考察した能見氏の研究は、現代まで続いている血液型占いブームの火付け役になったとも言えるでしょう。
また、血液型占いが社会に浸透していく過程で各血液型の立場も変化していきます。
1930年代はB型が最も悪い血液型だと言われていたのですが、この頃になるとAB型が劣った血液型であると言われるようになってきました。
AB型=変人というイメージが定着し始めたのです。
AB型は世界的に見ても貴重な血液型で、日本の人口比率でも10%を下回ります。このような少数派は損な役回りを押し付けても反発が少ないため、偏見や差別の対象になりやすく、血液型占いによって不快な思いをすることも少なくないのです。
血液型占いが多数派であるA型とO型を持ち上げ、少数派であるB型とAB型のことを悪く言うのも、大衆化し人気を獲得していくためには必要なことだったのかもしれませんが、これは後々、大きな問題へと発展していきます。
2000年代に入るとメディアでの血液型占いの扱いはますます過熱していきます。2004年には1年間で約70本を超える番組が放送されるほどの人気があったのです。
しかし、こういった番組の中には特定の血液型のことを意図的に貶めるような扱いをするものもありました。
メディアは血液型占いを世の中に広めるために重要な役割を果たしましたが、それと同時に血液型への偏見を拡大し、新たな差別やいじめの原因を作ってしまったのです。
この時、不当な扱いを受けていたのはまたしてもB型でした。1970年代に批判を浴びていたAB型の『変人』というイメージが『天才肌』という言葉に置き換えられたため、再びB型が槍玉に挙げられるようになったのです。
そんな番組を放送していたテレビ局には当然クレームが殺到、この事態を受けてBPO(放送倫理・番組向上機構)は各テレビ局に、血液型占いに関する放送を自粛するように要請しました。
その後、テレビや雑誌で血液型占いを見かける機会はどんどん減少していき、現在では極一部で見られるのみです。
しかし、テレビでの放送がなくなったからと言って血液型を理由にした偏見や差別がなくなったわけではありません。
セクハラ、パワハラ、モラハラなど、最近は『○○ハラスメント』という言葉がたくさんありますが、『ブラハラ』という言葉を聞いたことはありますか?
ブラハラ…ブラッドタイプ・ハラスメントとは血液型によって性格を決めつけたり不当な扱いを強いたりして、相手を不快な気持ちにさせることです。これは血液型と性格の関連性を信じている一部の人によって引き起こされ、今、大きな社会問題となりつつあります。
血液型や肌の色など、本人の意思で決定できない遺伝的特徴を理由に誰かを否定することは、れっきとした差別であり、人種差別や男女差別と同様に決してやってはいけないことです。
しかし、日本人にとってもはや『常識』となった血液型に対する偏見はそう簡単になくせるものではなく、まだまだブラハラに対する理解が進んでいないのが現状。
何度も言いますが、血液型占いは科学的根拠のない占い、ジョークの一種です。その結果がどんなものであれ、深刻に受け止める必要はありません。
また、血液型占いの結果で人を貶したり批判したりするなんてもってのほかです。あくまでも『遊び』の1つとして楽しんでください。
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