
九星気学を学ぶうえで、切っても切り離せない思想が陰陽五行説。
陰陽は天地の対極を示し、五行は木・火・土・金・水の5つの要素に万物は分類される、といった中国古来の哲学であることは、これまでの記事でもご紹介してきたとおり。
九星に割り当てられた五行の属性で、基本的な性格を導いたり、相手との相性を占ったり、吉凶方位を導き出したりと、掘り下げれば「傾斜」や「相生剋」などの分析要素はありますが、運気や運勢を占ううえで幅広い領域をカバーできる思想と言えます。
そんな五行思想ですが、九星気学で用いられることが多いのが5つの属性であるため、
占いたい人の本命星と五行を把握すればいい
と考えてしまいがちですが、紀元前の古代中国で生まれた哲学である五行思想は、実はそんな単純な話ではありません。自然現象である四季の変化を通じて、
万物は互いに影響を与え、生滅盛衰を繰り返し循環する
という根底の概念を理解することで、自然のみならず、宇宙の法則であったり、政治体制の変化であったり、医療や占術といった具体的な分野にも反映させてきました。
現代社会においても、こうした概念や思想は大いに当てはまる部分もあり、
など、「五」という数字を使った表現が多いのも、人間や自然界の様々なものを指す五行思想と深く関連していると言えるでしょう。
それだけ五行説が思想として浸透している証左でもあり、日本でも馴染み深い十二支も五行思想から生まれた概念(諸説あり)であることを踏まえると、五行思想は思いのほか身近なものであるとも言えますね。
なお、日本で言う干支(えと)は本来、十干十二支を指し、
陰陽説と五行説が結びついたもの。
木・火・土・金・水の五行に、陰陽道の陰と陽をそれぞれ配して、日の順序を表したのが十干。一方、12ヶ月の暦を表すために使われたのが十二支です。
この十干と十二支を組み合わせた60通りの干支を「えと」と呼ぶので、日本の十二支は言わば簡素版なんですよ。
今回の記事では、そんな「陰陽五行思想」にスポットを当て、より深く五行思想を学ぶうえで必要なことや時代背景、現代社会への影響などを詳しくご紹介。
五行の属性や十干十二支だけでなく、現代における五行思想の捉え方や五行思想に基づいた日本伝統行事などもご紹介していきます。
これを機に、陰陽五行説をより深く理解し、九星気学の占術に役立てていただければと思います。

上述のとおり、五行思想の原点となるのが「木・火・土・金・水」の5つの属性となり、自然現象や政治、医療など様々な分野に紐づけてきました。
木や火と聞くと、木星や火星、土星などの惑星を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、当時から肉眼で見える5つの惑星と五行の属性を紐づけたとされており、
これに月と太陽を加えたのが七曜(しちよう)
で、日本の曜日の語源となっています。
五行自体は単にその属性を示しているだけではなく、季節や状態、方角や体の臓器なども示しており、ゆえに様々な分野で活用されることになりました。
その思想は現代社会においても多方面で影響を及ぼしており、私たちの生活のなかにも深く根付いているものが多数あります。
五行思想が元になっている概念をいくつかご紹介しますと、
≪季節≫
春夏秋冬に土用を加えた「五時」
≪方角≫
東西南北に中央を加えた「五方」
≪色≫
青・赤・黄・白・黒の「五色」
≪臓器≫
肝・心・脾・肺・腎の「五臓」
≪味覚≫
酸味・苦味・甘味・辛味・塩味の「五味」
などが挙げられ、これら五行思想を元に配色理論(青・赤・黄・白・黒を使って調和を図る)や、喜怒哀楽(本来はこれに「恐」を含む)といった感情論などの理論体系に発展したものも数多くあります。
特に医学分野においては中国伝統医学の基礎となったとされており、体の不調を「五行の不和」に例え
五臓の調和が乱れた時に体のバランスが崩れる
という前提で、中国伝統医学は発展してきました。
これまでの五行例を見て、すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、
五行すべてがバランスや調和の元に成り立っています。
例えば、医学においてはその調和が乱れると体調を崩す、政治面ではそのバランスが乱れることで紛争が起きる、といった形です。
バランスと調和・相互関係、そこに「循環」という概念が加わることで五行の基本体系が成立します。五行思想は、単なる古代思想ではなく、
様々な分野で応用できるシステム的な世界観
と言え、調和とバランス、循環を重視する五行思想の概念は、現代においても非常に価値の高い視点を提供していると言えます。
身近なもので季節や曜日といった暦がそれに該当しますが、日常生活のなかで何気なく使っているものであったり、その認識であったりが、実は五行思想に基づいた概念であるものは多数あるということを改めて認識しておきましょう。

日本の伝統行事でもお馴染みの「灯籠流し」。
先祖の魂を弔うために灯籠に火を灯して川や海に流す行事ですが、その風習の起源については明らかになってないものの(諸説あり)、火と水という相反する属性をひとつにまとめることで調和を図り、
先祖の魂に霊的な浄化と心の安らぎを与える
ことを目的としたとされています。
火と水、生と死、過去と現在といったように、自然サイクルの調和という観点は五行思想に基づいており、はるか昔の古代から根付いているこうした概念は、現代においても通ずるところが多数あります。
特にこうした人間の感情においては、その多くが五行のバランスで成り立つことが多いもの。
例えば、上記でも軽く触れました「喜怒哀楽恐(五行では喜怒思悲恐)」の五情を例に挙げますと
という割り当てになりますが、この五情を相生の関係で見ると
といった関係性を見出すことができます。
上述の灯籠流しにおいては、火と水という相剋の関係となるので上記には該当しませんが、心を鎮めるという観点で調和とバランスを重視した文化だと言えるでしょう。
現代社会における人間関係や人間の感情においても、この五情が反映されているものが多く見受けられます。特に人間にまつわる五情や五臓においては、循環と調和・バランスが的確に反映されていると言え、
感情が乱れることで体のバランスが乱される
これはまさに「ストレスが万病のもと」を反映している形となります。
感情の不調が臓器のバランスの乱れと考えたのが五行思想であり、この時代から
心と体の繋がりを説いていた
のは感嘆してしまいますね。
現代社会においても、循環と調和を意識してバランスを崩さないという観点では、自身の身体以外のすべてに当てはまると言えます。
特に人間関係や相手との相性という点では、調和やバランスの取れた関係性が最もストレスにならず、体の不調も来たさないということ。
より感情が複雑な現代社会だからこそ、五行思想を元に調和とバランスに重きを置いた立ち振る舞いが必要だということかもしれません。