タロットがいつ頃生まれたのかハッキリと分かってはいませんが、現存する最古のタロットカードは15世紀前半に北イタリアで制作された『ヴィスコンティ・スフォルツァ版』と呼ばれるものです。
500年以上も前のデッキなので全てのカードが残っているわけではありませんが、絵柄や枚数などを比べると現在のデッキとはかなり違ったデッキであったことが分かります。
マルセイユ版は、このヴィスコンティ・スフォルツァ版を基にして17世紀にフランスで製造、確立されました。
当時のタロットカードは、占いのための物というよりはカードゲームのための道具として位置づけられていたため、マルセイユ版のピップカードは数字の数だけスートが描かれたトランプのような意匠になっています。
それに対して、ウェイト版のデッキは最初から占いに使用する目的で製造されています。ピップカードにもスート(属性)と人物が描かれ、全てのカード1枚1枚に物語性を持たせていることが見て取れるでしょう。
タロット占いは、タロットカードに隠されたメッセージを読み取る占い。そのために必要なのは、カードからイメージを膨らませる想像力、インスピレーションに従った直感力です。
数字の書かれたカードと絵の描かれたカード…あなたはどちらのカードからより強いメッセージを感じましたか?ウェイト版のカードを見た時の方が想像力を働かせることができたのではないでしょうか。
始めはゲームのための道具だったタロットカードが占いに使われるようになったのは、パリの占い師であったエテイヤ(又はエッティラ。本名:ジャン・バプティスタ・アリエット)という人物が1783年から1785年の間に出版した「タロットと呼ばれるカードのパックで楽しむ方法」という著書がきっかけでした。
穀物の行商を営む両親の下に生まれたエテイヤは少年の頃からタロットカードにのめり込み、タロット占いの研究に没頭。彼は自身が多大な影響を受けたエジプトの賢者、ヘルメス・トリスメギストスの教えを基に、1789年に世界初となる占い専用のタロットデッキ「エテイヤタロット」を制作しました。
このタロットデッキが今日まで続くタロット占いの基礎となったのです。
タロット占いはエテイヤの登場から数十年後、アーサー・エドワード・ウェイトという一人の男性によって更なる発展を遂げます。
1865年に設立された魔術結社『黄金の夜明け団』の団員であったアーサーは、エテイヤタロットに独自の解釈を加えたウェイト版のタロットデッキを制作。単調なデザインだったピップカードに絵柄を書き込むという創作を施したのです。
アーサーの作ったウェイト版は、タロット占いの世界に革命を起こしました。
カードに絵柄を与えることで難解だったカードの解釈が容易になり、イギリスとアメリカを中心に大流行。「タロットカードといえばウェイト版」とされるほど大勢の占い師に使われるようになっていったのです。
こうして、タロットはゲームのためのツールから占いのためのツールへと変貌を遂げたのですが、それが一般社会に認知され始めたのはもう少し先の話になります。
当時タロットカードに興味を持っていたのは、オカルティズム(神秘学)を信仰していた一部の占い好きだけ。一般の人たちの間ではタロットの『タ』の字も知られていませんでした。
そんな状況を一変させたのが、1970~1980年代にアメリカでピークを迎えた『ニューエイジ』と呼ばれるスピリチュアル・ムーヴメントです。
ニューエイジの思想が生まれた当時、ベトナム反戦運動や公害などの社会不安から、『これまでの物質文明では世界を幸せにすることはできないのではないか』という批判が起きていました。
その問題を解決するために、『平和と調和を目指す精神文明が人類を導く』というニューエイジ思想が世界中に広まったのです。
ニューエイジでは、霊性を進化させることによってアセンションを目指しますが、そのための手段としてタロットによる占いを取り入れています。
そのため、ニューエイジ思想が広がると共にタロット占いも一般化していきました。
1970年代になると日本にも渡り、若者たちに大きな影響を与えています。当時の日本で流行していたオカルトブームの後押しもあり、タロット占いは日本国内での地位を急速に固めていったのです。