九星気学における本命星のひとつ「八白土星」。
この「八白土星(はっぱくどせい)」は、その名の通り「土」の属性に所属する星のひとつで、五行思想における九星の分類「木・火・土・金・水」の要素のなかで、最も属する星の数が多い属性を担う星のひとつです。
同じ土の属性である二黒土星の象徴が「肥沃な土地」、五黄土星が「地球の大地」、そしてこの八白土星は「連なった山々」を象徴しており、性格的な要素では五黄土星を除き「安定」や「忍耐」といった不動の気質を示すことが多い傾向にあります。
このページでご紹介する八白土星もまた、象徴が「山」ではありますので、
安易に方針を変えたり、思い付きで動いたりするタイプではない
ということが容易に想像できますが、果たして八白土星にはどのような性格の人が多いのでしょうか?
今回はそんな「八白土星」の基本的な性格や気質、特徴などを詳しくご紹介していきます。
後天定位盤の方位「北東」を定位置とする八白土星。
七赤金星のように、その星の名称からは八白土星の象徴がなかなか見えにくい部分ではありますが、八白の「八」は、孤山ではなく連なった山々を指すと同時に、末広がりの象意である子孫繁栄や、財産が積み上げられるといった意味もあり、そうした観点からも「家庭を大切にして堅実な生活を送る」といった性質が垣間見れるところでもあります。
長い年月をかけて土が積み重なり、高い山々へと進化した八白土星においては、空気が薄くても九星の最後「九紫火星」まで上り続けるのか、はたまた引き返して山を下るのか、その状況判断や方針転換といった
物事の節目において重要な判断を下す能力
に長けており、土の属性としては珍しい点ではありますが、八白土星は「物事の変化とその決断」をテーマとした重要な星のひとつだと言えるでしょう。
季節は晩冬から立春にかけての「次の年の種まきが始まる前」という時期になり、今年もまた豊富な収穫を得るためには、「どの場所に種をまけば実り多き一年になるか?」という重要な判断と決定を担っているため、
変化に敏感かつ情報収集にも長けている
というのが八白土星の本質かもしれません。
八白土星の方位は北東、八卦の易は「艮(ごん)」となり、この艮が示すものはまさに「山が動かずに万物を食い止めている様」を示しています。
この象徴から掴み取れる内容としては、安定はもちろんですが、それ以外にも不動・停滞・阻止などが想像できます。
ただし、今の状況においては不動や停滞が良いのかは、
常に頭の中で試行錯誤している状態
ですので、決して頑固や慎重であったり、腰が重いという訳ではなく、その結論や正解を導くためにさまざまな情報を集めているといった方が適切かもしれません。
ちなみに、後天定位盤で北東に位置する八白土星ですが、先天定位盤では成長や発展の象徴でもある「三碧木星」の定位置(先天上位と呼びます)となるため、八白土星による物事の変化とその決断次第では、種まきを担う三碧木星や、成長を担う四緑木星の今後の運命をも変えてしまうかもしれないのです。
そんな八白土星の基本的な性質は一言で「努力家」
です。当然、コツコツと目の前の課題をこなしつつ、新しいものは常に取り入れて自分自身の研鑽も忘れない一途な性格です。
ただし、一途と言っても何かに夢中になると他のことに一切興味がなくなるといった偏りはなく、全体的なバランスを常に考えて行動するため、土の属性だけにフットワークの重さは否めませんが、
牛歩ながらも確実に物事を成就させる
という粘り強さもまた社会的な評価や信頼につながることが多い傾向にあります。
また、几帳面な側面もあり妥協を許さないため、会社組織では「赤字になってでも良質なものを作りたい」といったこだわりが出てしまい、時として組織から煙たがられることもあります。
よって、リーダー気質でもなければ、人に指図されるのが嫌いといった典型的な理系タイプかもしれませんが、
その行動の裏には自らの自信の表れ
が内在していますので、見る人にとっては「扱いが難しい人」と思われがちですが、分かる人からはとても評価されるタイプです。
また、人付き合いやコミュニケーション能力は非常に苦手で、人前で発言しなければならない状況では、逃げだしてしまうのではないかというくらい寡黙な気質を持っています。特に男性の場合、
女性と会話するだけで心が乱れ冷静さを欠いてしまう
なんてことも珍しくありません。
そんな不器用な性格を持つ八白土星ですが、そんな性格でも「変化の象徴」ではありますので、そう言われる所以を次の章「五行思想の属性や相性の良し悪し」にてしっかりと見ていくようにしましょう。
上記でもご紹介したように八白土星は「土」の属性であり、その象意は山々。
日本の武将・武田信玄の名言「動かざること山の如し」の概念とは少々対照的かもしれませんが、八白土星は「動かない方がいい・動いた方がいい」の変化の判断、
方針転換、世代交代といった重要な転換点
の意思決定を行う能力に長けておりますので、周りのさまざまな意見を取りまとめる能力にも優れています。
つまり、日ごろから周りの人とのコミュニケーションを取りつつ、いざ重要な決定を行う時には周りの人たちを自然と仲間に取り入れてしまう、そんな特技を持っているとも言えますす。
しかし、自ら積極的にコミュニケーションを取るのが苦手なため、特に性格的に合わない・価値観が合わない人とは、なかなか同意が得られない傾向にあります。
まずは、八白土星に対する吉凶方位からの相性を見てみましょう。
■吉方位
二黒土星、六白金星、七赤金星、九紫火星
■凶方位
一白水星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、八白土星
この五行関係は、二黒土星や五黄土星と同じとなり、以下相生・相剋の関係からも「木と水」の属性との相性の悪さが窺えます。
【相生(相互助長)】
【相剋(相互抑制)】
※相生(そうしょう)と相剋(そうこく)については、過去記事「▼死気・殺気とは?五行説に基づく九星気学の相性と方位」を参考にしてください。
■相生
■相剋
「火は土を肥やす」という火生土の関係から、九紫火星の人とは何かと恩恵を受けやすく、逆に三碧木星や四緑木星からは抑制されやすいという関係性が見えます。ここでいう抑制とは、
八白土星が判断した変化・転換に対して異を唱える
ということとなり、それに対して常にストレスを感じるようになります。
また、同じ属性である二黒土星は、後天定位盤では定位対沖の位置関係となり、方位的な判断では凶方位となりますので、相生比和の関係ではありますが、調和の関係が築けるかどうかは、慎重に見極める必要があるでしょう。
それぞれの九星が持つ物事や事柄の象徴である「象意」。
象意は人それぞれ捉え方が異なる部分ではありますので、まずは過去記事「▼九星気学における象意とは?九星が示す象意をその意味を理解しよう」にて象意の捉え方の基礎を踏まえたうえで、八白土星の象意の例をご紹介していきます。
これまでご紹介してきたように、八白土星は安定の象徴でもある「土」の属性ではあるものの、これまでのやり方からの変化や方向転換を決断したり、不動のまま変化させないといった重要な判断を担う星となります。
そのためにも、柔軟な発想が必要であったり、多方面から情報収集したりと常にアンテナを張り巡らせ、
判断を下すための情報に常に敏感である
と言えるでしょう。
土の属性と言えど、象意は連なった山々・連峰を示しますので、基本的にはどっしりと構えて、軽はずみな行動は起こさず、物事を冷静に判断するのですが、二黒土星など同じ属性の他の星と比べると、変化や転換を好まないのではなく「必要に応じて変化・転換を判断する」といったスタンスであることから、
決して優柔不断ではなく、逆に思い切りの良さを兼ね備えている
といった気質があることは念頭に置いておく必要があります。
相性という観点では、上記でもご紹介したように「土・金・火」とのフィーリングが良く、特に五黄土星に関しては、その者が仮に経営者であったり、リーダー的存在だった場合には、その右腕として活躍できるほど厚い信頼を得られるでしょう。
特に経営者が判断に迷った場合には、結果を恐れず
根拠に基づいた的確なアドバイスができる
ため、「肝が据わっている」という点も長所として挙げられるでしょう。
なお、八白土星も晩年に向けて運気が向上する晩成型タイプではありますが、コツコツと地道に努力する姿勢は、他の星の性格からは「マイペースでイライラする」という風に捉えられてしまうことも少なくありません。
状況に応じた臨機応変さは、決して持ち合わせていない訳ではないのですが、
焦って失敗するより遅れてでも確実に行う
というスタンスが、相性的に合わない星もありますので、特にアクティブさが特徴の一白水星や三碧木星を持つ人とは、衝突が絶えないかもしれません。
このような場合、六白金星の人の臨機応変さや、七赤金星の人の積極性などを活用して自分をサポートしてもらうようにすれば、自身の短所を埋めることができるので、一人で地道に事を成すのではなく
積極的に周りの人の力を借りることが重要
と言えるでしょう。
八白土星の気質としては、「金」の属性のようにプライドが高い訳ではないため、人に物事を頼んだり、お願いしたりすることに障害はありません。
逆に、重要な方針転換などの判断を下すためにも「常に味方を増やしておきたい」という思考が働きますので、自身の考えや自尊心も重要ですが、自身の役目をしっかりと認識して物事を遂行すれば、「自然と周りが味方についてくれる」というタイプだということを、肝に銘じておきましょう。
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