九星気学をより深く理解するうえで欠かせないのが「法象学」。
法象学とは、道理にかなった天の法則を解明するための学問であり、言葉ではなかなか理解が難しい部分もありますが、気学を理解するうえでは欠かせない理念であると言っても過言ではありません。過去記事「▼単に方位を取るだけじゃない!九星気学が示す方位学と吉凶方位の真髄」でも触れているとおり、九星気学の真髄は
「方徳」を最大化して「方災」を最小化する
つまり、運気を向上させるためのどのような行動を、どのような方角で取るべきかを諭しているのが九星気学であり、その基本思想は五行思想はもちろんですが、気学の元となる法象学に基づいているとも言えるのです。もっとかみ砕いて言えば
「法象学は運気を高める学問」
とも言えますが、その代表的な占術となるのが「奇門遁甲」のような式占で、九星気学もまた開運の方位学として同じ部類に属されます。とはいえ、一個人からしてみれば、「では実際にどのような事を行えば運気が上昇するのか?」という点ばかりにフォーカスしてしまいがちですが、法象学においては
自然界を支配している理法・摂理の法則
に重きを置いているほか、気学における「行動することによって運気が変わる」という概念も前提としてありますので、天や自然の変化・移り変わりに合わせて自らも吉方位へ行動を起こすことで、運を引き寄せる・運勢を開くという教えがあることを念頭においておく必要があります。
そのうえで、今回テーマとして取り上げるのが「姓名判断」。
占いのテーマとしても需要が多く、特に新生児などの命名に関しては、現代においても姓名の総画数や姓名の相性などが意識され、子供が生まれた際には運気にも恵まれた実りある人生を願い、姓名鑑定を行う方が多い傾向にあります。
運に恵まれる、運気を高めるという象学・理学的な観点では、上記のとおり九星気学もまた法象学のひとつではありますので、
姓名判断の占術ツールとして活用できるのではないか?
と思いますが、九星気学を活用した姓名鑑定はあまりメジャーではないかもしれませんので、この記事では「九星気学で姓名鑑定はできるの?」という疑問から、九星における基本的な性格との関連性、そして具体的な占術の方法まで、様々な視点で九星気学における姓名判断をご紹介していきます。
九星気学は、生まれ年によって本命星が決まり、その本命星には基本的な性格や性質が割り当てられております。もちろん、月命星による内面的性格の違いなどはありますが、生まれながらにして一定の性格が決まっている以上、
その星と性格に即した命名が望ましい
という考えや思想があるかもしれませんので、その点も含めて九星気学における姓名判断のアプローチや鑑定に必要な要素などをしっかりと押さえておくようにしましょう。
早速ですが、まず「九星気学で姓名判断を行うことができるのか?」という疑問において、結論から言うと、できなくはないが確立していないというのが実情かもしれません。
例えば、一般的な姓名判断において、姓名総画数のうち、19や22、28,34などは凶数と呼ばれている一方、九星気学では1・4・7・10・13などの数値が重視されます。また、姓名鑑定には五行思想も取り入れられており、
天格・人格・地格の3つの配置を三才配置
と呼び、天格は先祖・祖先を示しますので吉凶判断には関係がありませんが、人格や地格は、それぞれ生まれ持った性格と背負った運勢を示しますので、占術要素としては九星気学の思想と類似している部分もあるかもしれません。ただし、九星気学においては冒頭のリンク先ページでご紹介している
「吉凶、動より生ず」の理念があります
ので、不変的な生年月日や姓名(姓も名も変わる可能性はありますが)などは、あくまで基本情報に過ぎず、行動によって運気を高めることを前提としておりますので、姓名鑑定によって吉凶が判断できたとしても、運勢においては
その後の人生における行動の取り次第
という風に捉えておくと良いでしょう。
また、姓名鑑定における総画数という点で、九星気学においては「象意」という概念があることは過去記事「▼九星気学における象意とは?九星が示す象意をその意味を理解しよう」でもご紹介しているとおりですが、例えば一白水星の数値的象意は「1.6」、二黒土星であれば「2.5.10」だったりしますので、自身の本命星に合わせ
象意で示される数値を画数として取り入れる
という方法はあるかもしれません。
一方、九星気学と並んで古代中国発祥の東洋占星術の代表的存在である「算命学」においてはどうでしょうか?
算命学という名からしても、姓名判断や画数に対する運命・運勢の導きなどに長けているようなイメージもありますが、算命学においては
字画で占う発想がなく姓名判断の要素はなく
算命学は、特に生年月日や性別、両親といった「宿命」的な要素を重視する占術となるため、出生後に任意で付けられる名前については宿命に影響しないため、概念そのものが存在しないのです。
古代中国発祥の占術においては不変的な「静」を重視していた傾向があるのに対し、日本に伝わった九星気学は「動」の要素も取り入れているという特徴的な占術であることがうかがえます。
九星気学においては、姓名鑑定における直接的なアプローチは存在しないせず、あくまで生年月日を用いた宿命的な「静」の要素、かつその年ごとで変化する吉凶方位に対する祐気取りなどでの運気向上、方災回避を主体とした「動」を組み合わせた占術であることが分かります。上述のとおり、九星気学と算命学の大きな違いは
「動」を組み合わせを取り入れていること
つまり、生年月日や苗字(子は親を選べない)は変えられない宿命的な部分ではありますが、名については親が任意で付けるもの、つまり「動」の部分となりますので、付けられた名前によって運命が大きく変わる可能性は十分にあるのです。
ちなみに、九星気学と画数を紐づけられるとすれば「九星」か「六十干支」となり、例えば上記でも取り上げた一白水星であれば
名前に「一」を含めて総画数6文字にする
といったこともできますし、生まれ年の年盤を用いて、
吉方位の干支の数値を名前の画数として取り入れる
といったことも考えられます。
十干十二支(六十干支)においては、当然60種ありますので、本命星や月命星を導く際に用いる計算式(十の位と一の位の合計)を用いて、上記例「庚子(37)」は10画と捉える必要があります。
上記はあくまで姓名判断に用いる際の一例となりますが、九星気学における年盤の運気効果は約60年とされておりますので、生まれてくる子供に対する長期的な運命・運勢に多少なりとも影響が出るかもしれません。
これまでの記事でもご紹介してきているように、九星気学は生年月日を元にした命術占いである一方、姓名判断は手相や人相など、
対象の姿形からその人の状態や運気を占う相術占い
であるため、そもそも占術における思想もアプローチの方法も異なります。
ただし、九星気学は生まれた場所や年月日、家柄などの宿命は変えられないものの、運気の流れを把握することで、自らの行動の指針を与えてくれる占術となりますので、少なからず動の要素となる「名前」は、
その運気の流れに影響を及ぼすものと考えられます。
一般的な姓名判断のような、姓名の画数から「五格」を算出して運勢をリーディングするといったアプローチは九星気学には存在しませんが、現代社会においては相術や命術の枠組みを超えた占術アプローチがあっても良いかもしれません。
今後、九星気学を用いた姓名鑑定が確立されることがあれば、相当に確度の高い占術のひとつになるかもしれません。
九星気学で相性や運勢が丸わかり!