多くの占いでは、占術内容に「健康運」というカテゴリーが存在しますが、主に吉凶方位診断を中心とする九星気学においては、健康運というジャンルにフォーカスしている訳ではなく、健康運も含めた総合的な運気や運勢を導き出すというのが基本です。
もちろん、各九星が持つ象意においては「病象」と呼ばれる体の部位や器官が示されておりますが、これ自体が健康運を導き出すものではなく、そして病気平癒や無病息災を祈願するものでもないため、
九星気学で健康運は占えない
と思われがちなのも致し方ないところかもしれません。
各本命星が示す「象意」については、過去記事「▼九星気学における象意とは?九星が示す象意をその意味を理解しよう」も参考にしていただければと思いますが、九星気学における吉凶方位を知ることはもちろん大切ですが、
それ以上に健康であることの方が重要
ではありますので、やはり九星気学でも健康運の把握や無病息災に対するヒントが得られることが望ましいことは言うまでもありません。
では、実際に「九星気学で健康運を占うことはできないのか?」と言われると実はそんなことはなく、算命学同様
人体の部位に割り当てた人体星図の概念
が九星気学にもあるのです。
すでに各方面でも紹介されているように、九星それぞれが担当する体の部位においては、以下のような割り当てがなされておりますが、こちらは基本的に後天定位盤の方位がベースとなっており、
古くから東洋医学には「医学と易学は同じ根源を持つ」という意味の
医易同源(いえきどうげん)という概念
があったことで、九星気学を含めた易学が積極的に医学領域に用いられてきた背景があったのです。また、東洋医学における脈診のひとつでもある「六部定位」は、左右の手首の脈を6ヶ所に分けて、その脈の強さや速さを見て五臓六腑の働きを診断するというものですが、六部定位もまた
易学(易経)を医学の診断や治療に応用したもの
であることから、実は易学と医学は古くから双方の領域で活用されてきたのです。
そこで今回の記事では、九星気学を用いた健康運の占い方、捉え方にフォーカスし、健康維持のための九星気学の活用法をご紹介。
さらには、健康運を維持する、病気平癒のための六三除けなどの厄払いなどについても取り上げていきます。
これまで、九星気学においては方位診断が中心ではありましたが、過去記事「▼九星気学の運勢判断法「同会・被同会」の見方と活用法」でもご紹介した運勢診断法もあれば、今回ご紹介する健康運診断など、様々な占術に応用できるのが九星気学の特徴でもありますので、この機会にぜひ、こうした占術法があることを知り積極的に活用できるようにしておきましょう。
※画像出典:大津神社「六三除け」
九星気学とは少々離れますが、現代においても特定の神社で行われている
病気平癒の六三除け
はご存じでしょうか?
六三除けとは、原因不明の病や体の特定の部位の痛み、薬を飲んでも効かないといった場合に祈願する祈祷で、人体を九つの部位に分けてどこに病気の原因があるかを判断して、これを治そうとする易術です。
六三除けの「六三」とは、日本の伝統的な信仰における体の部位を指し、その占術においては
自分の数え年を9で割り、余った数によって体の不調部分を特定する
といった少々根拠に乏しいと感じる点は否めませんが、この九星の巡り合わせによって生じる六三を防ごうとする祈祷が六三厄除けです。
冒頭のイメージ画像にも示されているように、身体の9つの箇所(頭、腹、股、両肩、両足など)のうち、数え年を元に不調になっている可能性がある部位を特定します。
男性と女性とで、その配置が対称となっているのは陰陽説に基づく「陰」と「陽」の違いによるものです。
例えば、数え年が50歳の場合
50÷9=5余り5
となりますので、男性の場合は右肩、女性の場合は左肩に
六三が当たっている可能性がある
という判断になります。
六三除けは身体的な厄除けとなり、九星気学の後天定位盤との関わりがあるとされ、体内を巡る病を九星に例えて祈祷する厄除けです。
六三による人体星図には、中宮に該当する該当する五黄の位置に④が在位しておりますので、九星気学との関わりがあるとは言え、若干の概念からは外れているかもしれません。
ただし、例えば今年1年間の健康運を占う場合、
2,当たっている場合は自身の本命星における象意で体の部位を確認
3,六三除けの算出で、上記象意と部位が重なっていないかを確認といった簡単な確認方法で、今年1年の留意すべき部位をチェックすることは可能です。
また、同会・被同会の占術法を使って、影響を受けやすい他の星の象意なども確認しておくと、さらに精度は高まるかもしれません。
健康運を占ううえでは、六三が当たっている可能性も加味すると良いでしょう。
このように、九星気学における各星が体の部位を示し、これら星が方位を変化させるように、体の不調も九星が巡るがごとく変化するため、古くから六三除けという祈祷が信仰されてきたものと思われます。
医学が発達した現代社会においては、健康運を高めるために「吉方位へ祐気取りを行う」ということだけではなく、日常の生活習慣を見直したり、栄養バランスの偏り改善やストレス発散、しっかりと睡眠時間を取るなど、
自らで行えることを実施してから占術を反映する必要
があることは説明の余地がありません。
例えば、二黒土星の基本象意の病象として
腎臓病・糖尿病・尿道・子宮など
が挙げられ、六三除けの部位としては②・⑥・⑧あたりがそれに該当します。
※二黒土星の基本象意については「▼二黒土星の基礎知識」をご参照ください。
二黒土星の全体運が低迷期であれば、やはりこれら部位の疾病リスクを考慮すべきで、仮に吉方位とされる方向へ祐気取りを行っても、飲酒習慣や糖尿リスクを高める食生活などを続けていれば、その祐気取りの効果も半減してしまうでしょう。
九星気学や六三除けが積極的に用いられていた時代では、これら占術結果の信憑性も高かったのですが、現代社会における健康管理においては、
相当に医学的に解明されてきている部分も多い
ので、第一の優先事項としては健康的な生活習慣に改めたり、適度な運動習慣を身に付けたりと、健康に対する意識を高めることが、結果的に健康運を高めるということを留意しておくべきでしょう。
引っ越しや結婚などに伴う方徳・方災は、科学的な解明が難しい(現実的に不可能)のが実情ですので、そうした背景もあっての気学の信憑性が成り立ちますが、現代医学はその効果が確立されており、
医療の進歩によって医易同源ではなくなっている
という点も含めて、総合的に考える必要があります。
祈願や祈祷だけで病気平癒・無病息災が実現できると考える人は少ないとは思いますが、やはり健康維持は人生のすべてに優先する事項ではありますので、九星気学だけに依存するのではなく、
気学の基本「吉凶、動より生ず」
の理念を忘れることなく、健康維持のために積極的に体を動かすことを心がけるようにしましょう。
九星気学で相性や運勢が丸わかり!