東洋占星術のひとつである命術占い「九星気学」。
その人が持つ生年月日といった固有の情報から当人の性格や性質を占う以外にも、その年・そのタイミングにおける吉方位や凶方位を導き出すといった特徴を持つ占術です。
生年月日に応じて9つの本命星に分類し、それぞれの星に対応した基本性格が割り当てられることはご承知のとおりです。
一方、もうひとつの占術ジャンルである吉凶方位鑑定においては、本命星や干支のほか、歳破や暗剣殺、天道といった万人に対する吉相・凶相など、様々な要素を考慮したうえで吉凶方位が示されるため、なかなか難解で理解しにくい部分もありますが、実際の鑑定需要としては方位診断の方が多い傾向にあります。
そんな九星気学の真髄は、やはり「吉凶方位の鑑定」であり、実際の活用方法として過去記事「▼運気の流れを味方に!九星気学の上手な活用方法」でもご紹介しているように、運気の流れを変える引っ越しや転職、旅行などの際に、幾多もの候補があるなかで
その方位を決定付ける判断材料
として用いられることが多いのですが、九星気学における方位鑑定の概念は、単に吉方位に方位を取り、凶方位を避ける、ということだけなのでしょうか?
例えば引っ越しの方位決めに対して、その年の吉方位に引っ越し先を決めたとしても、数年後には凶方位となっている可能性もありますし、それ以外の運気の影響も受けるかもしれません。
このような方位を占う方位学は、九星気学以外にも「風水」が良く知られていますが、風水は住まいや家具の配置、土地のエネルギーの流れを運気として捉えた占術であるのに対して、
九星気学は動く風水とも言われ
方位取りによって、自分自身のみならず自分の身の回りのものを含めた
すべてのもの(森羅万象)に対する運気の流れを整える
という意味での方位診断であることを認識しておく必要があります。
九星気学を理解するうえで「方位」を知ることが非常に重要ですが、方位を知るうえでは、九星気学が要素として参考にしたとされる古代中国の式占「奇門遁甲(きもんとんこう)」などへの理解を深める必要があります。ちなみに「式占」とは、占術を行うにあたり
式盤と呼ばれる円形の方位盤を用いる占術を指し
言うまでもなく、奇門遁甲では構成要素である八問が書かれた遁甲盤を作成しますし、九星気学もまた九星の配置を後天方位盤を用いて方位を示しますので、言うなれば九星気学も奇門遁甲も同じ方位術なのです。
今回の記事では、そんな九星気学における方位に着目し、方位が示す吉凶相以外の理念のほか、吉方位・凶方位の捉え方の真髄、現代における方位鑑定の捉え方などについて詳しくご紹介していきます。
こうした占術が生まれた古代中国では、兵術・兵法に活用されてきた背景がありますが、それが当てはまらない現代社会においても様々な活用法が見い出されてきておりますので、単なる方位判断からステップアップし、九星気学の真髄に迫るべく方位の捉え方を身に付けるようにしましょう。
上記でも触れましたように、九星気学における方位診断においては、その診断する時間枠に応じて年盤・月盤・日盤を作成し、それぞれの方位が吉方位なのか凶方位なのかを見極めるのがスタンダードな占術方法となります。
もちろん、引っ越しや起業(会社所在地の決定など)は、単年・単月のものではなく、向こう数年~数十年のスパンでのお話となりますが、九星気学における方位盤に定義される吉凶の持続においては
であり、引っ越しなどは当然年盤を用いる必要がりますが、国内外旅行などは月盤を用いるのが一般的となります。
この60という数値は、勘の鋭い方ならすぐお分かりになるかもしれませんが、十干十二支の組み合わせである「六十干支」の60になります。
※参考記事「▼干支とは何か?十干十二支の意味を知って九星気学の理解を深めよう」
仮に年盤を用いて、吉方位に引っ越しをしたからと言っても、60年間ずっと吉方位の効果が持続するわけではなく、ある一定の時期のみ吉凶効果が高まるとされており、これを
1・4・7・10・13の法則と呼びます。
一見、フィボナッチ級数(1・2・3・5・8・13・・・)のようにも見えますが、年盤であれば、1年目、4年目、7年目・・・といった具合、日盤であれば1日目、4日目、7日目となり、これは線路日の法則と呼ばれる自星が南と中宮に入ったときのサイクルとなります。なお、九星気学を含めた気学における方位概念のなかに、
吉凶、動より生ず(行動することによって運気が変わる)
という言葉があるように、運気や運勢を変化させるタイミングと、運気を良い方向に変化させるために必要な方角、ということを示しているのが九星気学の方位診断なのです。
九星気学では、吉方位の効果によって得た徳を「方徳」、凶方位の効果によって生じた災難を「方災」と呼びますが、その目的は言うまでもなく
「方徳」を最大化して「方災」を最小化する
というのが方位診断の意義ではありますので、仮に吉方位に引っ越しなどの方位を取ったとしても、その効果が得にくい期間においては、月盤などの短いスパンでの吉凶方位の判断をしたり、日常生活のなかで行動する(動が生じる)ことによって、
細かな運気と方位の変化もしっかり捉える
ことが肝要なのです。
せっかく吉方位に方位を取ったのに、「方徳」を感じることがでず、逆に不幸や災難が続くということであれば、時間のスパンを変えてみて月盤や日盤での方位を確認したり、日々の意識のなかで「方徳」を最大化させる心がけを持つことで、その効果がより高まるということを認識しておくようにしましょう。
九星気学は奥が深く難解な占術のひとつと言われる所以は、この方位の捉え方と構成要素が非常に複雑だからという点もありますが、九星気学の起源となる古代中国の占術「九星術」、さらに大きな括りで言う「方位学」という観点では
中国の三国時代に諸葛孔明が兵法として用いていた
と伝えられており、方位鑑定の起源は古代中国における兵術に遡ると言っても過言ではありません。日本でも非常に著名な三国志については、ここでは詳しく述べませんが、現代とは異なり何ら通信手段もない時代において、
方位の決定は命運を分ける
と言っても過言ではなく、かの有名な戦略軍師:諸葛孔明は、奇門遁甲の使い手だったという点を考慮しても、いかに方位取りの重要度が高かったのかが見て取れます。電気もなければ通信手段もない時代に方位学が確立されていることを考えると、方位学は
地球や太陽の影響を受ける規則的な変化
が重要であり、そこから時勢の変化を掴み取るうえで、五行思想や八卦や九星を用いていたと考えられるため、
世の中の原理原則に従い、決して天命に抗うことをしない
という前提があったのかもしれません。
少々座学的な視点になってしまいましたが、現代における九星気学においては何かと方位ばかりが注目されやすい傾向にありますが、もちろん吉凶方位そのものも大切ですが、方位だけに捉われず、その方位が世の中の原理原則に則っているということが重要で、
統計的に見ても一定の規則的な変化に準じているか?
というのが方位学の真髄かもしれません。
日常的に九星気学を占術として取り入れているようであれば、そこまで深く追求する必要もないかもしれませんし、すでに上記でご紹介した方徳や方災も体験済みかもしれません。
ただし、これから吉方位への方位取りを考えている方は、単に吉方位へ向かえばいいという単純な判断ではなく、
なども踏まえ、それらをしっかりとリサーチしたうえで確信を持って祐気取りを行う必要があり、そこまでしてはじめて「方徳を得やすくなる」という認識を持つことが重要です。単に吉方向への祐気取りだけで恩恵が受けられるなら、誰しもみなそのようにしているはずですので・・・。
しっかりと本質を理解してから行動に移すようにしましょう。
九星気学で相性や運勢が丸わかり!