西洋占星術のホロスコープ、東洋占星術の四柱推命や九星気学といった、俗に言う占星術においては、地域性もあってか共通点がないと思いがちですが、実は意外と身近なところに共通点があったりします。
例えば、分類要素のひとつである属性(エレメント)。
西洋占星術には、「火・地・風・水」の4つのエレメントに分類されるのに対して、九星気学などは「木・火・土・金・水」の5つの属性に分類されます。
九星気学や四柱推命においては、陰陽五行思想を元に5つの属性(五行説)に分類され、さらに解釈を拡大すれば、
万物は5種類の元素からなるという自然哲学の思想
となるのです。
一方の西洋占星術によるエレメントは陰陽五行説ではないものの「それぞれの属性が互いに影響し合って循環する」という思想は、陰陽五行と近しいものがあります。
西洋における「火・地・風・水」の四行思想は「四元素説」と呼び、
古代ギリシアの自然哲学者エンペドクレスが唱えた思想
と言われます。
この4種類なり5種類の元素が共通して用いられていること以外にも、占術においては共に式盤を用いる式占であること、そして生年月日においてはその出生時間まで用いることなどのほか、西洋占星術の12サインに対して東洋占星術の十二支など、挙げれば随所に共通点が見出せるというのも、また面白いところかもしれません。
そんな共通点が見い出せるなか、今回取り上げるのが、
占星術は統計学なの?
という疑問について。この点を深く掘り下げて見ていきます。
ご承知のとおり、九星気学もホロスコープも、生年月日を元に九星やサインといった基本的な性格や性質が割り当てられ、それをベースに個々人の状況などを織り交ぜて占術の精度を高めていきますが、こうした基本的な性格や気質というのは、
ある程度一定のパターンの循環や統計的な根拠
があったうえで確立したものなので、生年月日などの不変的なデータを用いるホロスコープや九星気学が統計学に近いと言われる所以はここにあるかもしれません。
これら占術が生まれた古代の時代から膨大なデータを積み重ねて現代に至っていますので、そういう意味でも統計学として説得力がある部分ではあります。
統計学における予測理論としては、
未来は過去を繰り返す
という前提のもと予測・推測を行いますので、人の性格や本質という部分はもちろん、運気や運勢もまた自然の法則に照らし合わせても再現性が高いのかもしれません。
よって、九星気学やホロスコープの占術のアプローチが統計学のそれに近しいものになっている訳ですが、考えてみれば
統計学という理論が確立する前から占術は存在している
つまり、占術を導き出す思想や理論が統計学を生み出したとも言えるわけで、現代において「占いは信じなくとも統計的予測理論は信じる」といった何か矛盾を感じる部分ではありますね。
いずれにせよ、占星術が統計学の前身となった可能性があるということは、頭の片隅に置いておいても損はないでしょう。
前置きが長くなりましたが、今回の記事ではそんな「占星術と統計学の相関性」について詳しく見ていきます。
古代から存在する占星術は「膨大なデータの積み重ね」によって、
一定の周期やパターンを占術に反映している
ということをお伝えいたしました。
ホロスコープにおいては、1年間で太陽が黄道を一周(太陽年と言います)すること、春夏秋冬ごとで天体における惑星の配置も一定のパターンで動いていることが遥か古代から分かっていたわけです。
例えば、
こうした予測は、前年でもその前の年にでも、そのような経験を実際に踏まえたうえでの予測理論であり、れっきとした統計学になります。
サンプルデータが多いほどその確度は高まるわけで、経験則としての予測は、何となくの感覚的な予想とは訳が違うと言えますよね。
九星気学の方位なども同様に、例えば60年で一巡する六十干支を元に、
といったような膨大な過去データを元に、定型的な予測データを出し、そこにその年特有の事象があれば軌道修正を加える、といったまさに統計学のアプローチそのものなのです。
もちろん、今から数千年前に誕生したホロスコープや九星気学は、その当時にそんな高度な計算を行う設備もなければデータを蓄積する設備もなかったわけですので、想像の域はでない推論となりますが、ホロスコープにおいては
地球の周りを天体が廻座するという天動説
に基づいた思想となりますので、あくまでも天体は繰り返すという再現性を見れば、統計学の要素を満たしていると判断することができます。
こうした周期性を把握しておくことで、リズムの変化などにも敏感となり、運気の変化をとらえやすくなるのも事実。
統計学理論の元となる統計データは、多ければ多いほど過去の様々なパターンを取り入れやすくなり、イレギュラー的な出来事が発生したとしても、迅速に対処・軌道修正を行うことができるのです。
占星術と統計学との相関性を見るにあたっては、
占いは過去の膨大なデータから未来を予測する推測統計
であること。さらに、
高い周期性があること
などを踏まえると、占いには数値化できない部分も多いのですが、一定の統計学的側面があることも事実なのです。
占星術が統計学などの学問であると言われると、少々納得してしまう部分も多いのではないでしょうか?
とはいえ、占術の目的はその人の将来や未来を見通し、これから起こるべく様々な出来事に対して、どのように対処するかをアドバイスすることです。
一方の統計学の目的は、あくまで過去データを元に、将来的にどのような結果が得られるかを推論することなので、アプローチに類似点はあったとしてもその最終的な目的は全く異なります。
また、周期的な側面から将来を予測できるという点も挙げましたが、占星術において太陽は1年で1周するとしても、その他の惑星の公転周期は長いもので250年近いサイクルであり、人の寿命から考えるとその周期を自身で確認することは到底不可能です。
■各惑星の公転周期
占いの評価はどうしても「当たる・当たらない」になってしまいがちですが(統計学も同じかもしれませんが)、逆に占いのメリットは、
万が一起こる予想外の出来事にも事前に対処法を立てておくことができる
という点で、占術結果においては幾つかのパターンを想定しておくことが重要です。
ホロスコープにせよ、九星気学にせよ、将来予測の蓋然性 (実際に起こるか否か)を高めるために、様々な要素を組み合わせて、実態に即した形でリーディングを行います。
仮に「5年以内に結婚できるか?」という鑑定ニーズがあった場合、統計学的には過去のサンプルデータがないので予測は不可能ということになりますが、ホロスコープなどの命術占いにおいては、
要素となる天体の位置関係や相手星座との相性
などを導き出すことで、多少なりとも正解に近づけるための材料は豊富にあるわけです。
統計学は、人間の感情や主観を挟まない分、過去のデータを根拠にブレない推論を導き出せます。一方、占いは過去の統計を用いたとしても
占う人の状態や感情、鑑定する人間の主観なども交わってくる
ため、どうしても推論がブレやすくなる傾向にあります。
こうした主観や感情は、言うなれば人間味であり、それが占いではありますので、学術的な統計学との大きな違いはここにあるのかもしれません。
機械的に判断される統計学と、人間的に寄り添う占い、どちらが良いとか悪いの話ではなく、状況に応じで使い分けるというのがもっともベターな判断になるでしょう。
結論としては、ホロスコープや九星気学といった命術占いの多くは、誕生からの長い歴史の中で、一定の周期性や法則を見出すことでハウスや九星のような性質的な分類を確立。その他にも、サインや方位といった概念も同様に、
自然や宇宙の法則に基づいて繰り返されることを前提とした未来予測
が、のちの統計学の概念となったということなのかもしれません。
統計的なデータによる未来予想が紀元前から行われていたと考えると、これら占術の創始者は「天才かよ!」って感じですね。
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