手に入った途端に興味がなくなる…どうすればいい？
手に入ると興味がなくなる飽きっぽさを何とかしたい【カルロッタ先生】
飽きっぽいので困ってます。
何か（例えば、ある種の楽器）に興味を持ったとします。YouTubeで演奏している動画を見たり、実際に楽器店に行って実物を触ったり音を鳴らしたりします。頭の中は寝ても覚めてもその楽器のことで一杯なんです。
そして、それからお金を作って、実際に購入します。
でも、それが手に入ると、途端に興味がなくなります。買ったものを開封することさえしない場合もあります。
手元に有るのだからいつでも触れるという安心感と、開封前のドキドキ感を温存しておきたいという気持ちがそうさせるのかもしれません。
こういうことが何度もあると自分でもおかしいと思い、何かに新しく興味を持つたびにそのことを考えます。でもやっぱり今回は前回とは違うと思い込み、また同じことを何度も繰り返してしまいました。
今は流石に、新しい何かを欲しがることを諦めてます。
飽きっぽさを何とかしたいという相談ですね。
今回は、私が悩み相談募集をして応募して下さったもので、ご相談、大変ありがとうございます。
さて、この飽きっぽさの話は、実はご自身の中の自意識と理想化の問題であるようにも思えます。
あこがれのもの、大好きなものを手に入れたのに、手に入れた瞬間に、まったく興味を失うという状況は、考えてみれば少しおかしなものですよね。
普通は大好きなもの、いいなと思ったものを手に入れたのなら、手で触れて楽しんで……もっといえば、それともっと近しく触れあいたい、関わりたいと思うのが自然です。
でも、あなたは違う。
手に入れたとたんに、距離を置き、遠ざけてしまうという状況になる。
手に入ったのに開けてみもしない。
この状況が起きるのは、おそらくあなたが人より少し臆病で、かつ理想主義的だからではないでしょうか。
あなたは、例えば何かを大好きになったとき、同時にその、大好きな何かが、自分を幻滅させたり、がっかりさせたりしないかと恐れているのかもしれません。
ここで例に出されている楽器のことで言うとしたら、あなたは楽器を手に入れる前、それをうまくひきこなし、楽しみ、上手に演奏している自分を、心のどこかに思い描いているのでしょう。
でも、実際に楽器を手に入れてみたとたん、少し怖くなるのです。この楽器を自分に近づけて触れあってみても、上手に弾けないのではないか、楽しめないのではないか、自分の理想通りにはならないのではないか、と。
実際、初めての楽器をうまく弾ける人はいませんから、あなたの理想通りにはならない可能性が高いでしょう。
あなたの理想が実現するのは、楽しくない練習という時間を費やし、ある程度の鍛錬の時間が過ぎてからです。
でも、この最初から素敵な時間が訪れない、思い通りの素敵さがやってこないという事実は、あなたを少し傷つけます。
そして、あなたはその新しくやってきた好きなものが、自分自身を少しだけ傷つけてしまうということは、あなたにとって自分で思う以上にとても怖いことなのかもしれませんね。
だからこそ、あなたは、あなたが興味を持っていた大好きなものを手に入れても……これはまるでシュレデンガーの猫のような話です、箱さえ開けなければ、猫はあなたにプラスの影響もマイナスの影響も及ぼさないように、大好きなものを手に入れても、そのものと近しくならない、関係を深めない、かかわらないのではないでしょうか。
そうすれば、あなたにプラスはありませんが、傷つくというマイナスの出来事は起こりません。
私は、あなたが言う新しい好きなものへの興味を失う、という状況は、あなた自身が少しでも傷つかないようにするための心の中のテクニックではないかと考えましたが、どうでしょう。
もし、そうであるならば、私から言えることは一つです。
極端な理想化、そして自分のちょっとの恐れのために、経験を失うのはもったいないように思います。
興味を失っても、心がけて手に入れた新しいものにかかわってみる、何かしらやってみる、ということを重ねてみるのはどうでしょう？
思い描いた理想とは違うかもしれませんが、あなたを満足させるようなあたたかな喜びが、あなたのもとにやってくるかもしれません。
あなたは相談の最後に、新しい何かを手に入れるのは諦めたのだといっています。
でも、重ねて言いますが、あなたに好きなものがあるのに、自覚的でない自分の心の防衛のために、せっかくの心を寄せるものを遠ざけるのは、もったいないと私は思います。
そしてもっというなら、今回は楽器という物の例えの話になっていますが、好きなものを遠ざけるといった性格的な傾向は、恋愛等の近しい人間関係にも現れやすいものです。
もし、あなたのプライベートな人間関係にも、あなた自身の傾向、つまり新しい好きなものを遠ざけるという傾向があるなら、少し注意したほうがいいかもしれません。
好きなものと近しく関わることは、もっとも素晴らしい心の満足に近いものであり、逆に好きなものを遠ざけることは、心の淋しさにつながることだからです。
今あなたが、大切なものを近しくするのが怖い、新しい大切なものとかかわっていく、大切にしていくことが怖いと思うのなら、その恐れを、少しずつ克服していくようにつとめたほうが、おそらく人生は明るい方に進むでしょう。
もしあなたが、これを克服してみたいと思うのであれば、いいなと思う新しい何かを諦めるのではなく、もう一度、新しい何かを手に入れてみるのも良いのではないでしょうか。
そして、手に入れたら、試しに近くに置いて、開けて、触れあってみて、練習やら鍛錬やらのつまらない時間でも、とりあえず一緒に過ごしてみることにチャレンジしてみましょう。
それは最初はあなたに大変さやつらさをもたらすかもしれませんが、最後には、あなたに新しい良き扉を開いて見せてくれるかもしれません。
これからのあなたに、あなたらしい、素晴らしい未来が開けますように。
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